あなたの家、リフォーム禁止!? 2025年法改正の衝撃
こんにちは!さんぜろ不動産の日下です。
2025年4月、日本の建築基準法が大幅に改正されました。
この改正は、2050年カーボンニュートラルの実現と建物の安全性向上を目的としたもので、特に「4号特例」の縮小が大きなポイントです。
4号特例とは?
これまで木造2階建て以下の住宅などは、建築確認申請の際に構造審査が省略される特例がありました。
しかし、この特例の対象が大幅に縮小されて、多くの住宅で建築確認申請が必要になりました。
何が変わったのか?
- 木造2階建て住宅の大規模リフォームに建築確認申請が必要
- 省エネ基準への適合が義務化
- 構造計算書の提出が必要なケースが拡大
先日、お客様から「うちの家、リフォームできないって言われたんですが…」という相談を受けました。
実は、この法改正によって、これまで普通にリフォームできていた住宅が突然「リフォーム不可」になってしまうケースが続出しているんです。
「え、なんで?」
そう思われた方、要注意です。あなたの家も該当する可能性があります。
今回は、不動産業界の内側から見た「リフォームできない物件の実態」と、その対処法について、正直にお話しします。

【緊急確認】あなたの家は大丈夫?リフォーム不可物件の特徴
まず、以下の項目をチェックしてみてください。
✅ 木造2階建て住宅
✅ 延べ面積が200㎡(約60坪)以上の平屋
✅ 建築確認済証・検査済証が見つからない
✅ 過去に無許可で増築した部分がある
✅ 道路に2m以上接していない(再建築不可物件)
✅ 建ぺい率・容積率をオーバーしている
✅ 1981年(昭和56年)5月31日以前に建築確認を受けた建物
上記に3つ以上該当する場合は、要注意です。
【重要】最後の項目について詳しく解説
「1981年(昭和56年)5月31日以前に建築確認を受けた建物」… これ、多くの方が勘違いされるポイントなんです。
❌ 間違い:「昭和56年以前に建った家」
⭕ 正解:「昭和56年5月31日以前に建築確認申請を出した家」
つまり、建物の完成日ではなく、建築確認の申請日で判定されます。
新耐震基準の境界線:
- 昭和56年5月31日以前に建築確認申請 = 旧耐震基準
- 昭和56年6月1日以降に建築確認申請 = 新耐震基準
具体例:
- 昭和56年3月申請 → 昭和57年3月完成 = 旧耐震基準
- 昭和56年8月申請 → 昭和56年12月完成 = 新耐震基準
「うちの家、いつ申請したかなんて分からない…」
そんな方は、建築確認済証を探してみてください。そこに申請日が記載されています。
もし見つからない場合は、市役所の建築指導課で確認できる場合もあります。
【危険度別】リフォーム不可物件の分類
🔴 超危険レベル:ほぼリフォーム不可
- 再建築不可物件(接道義務違反)
- 完全な違法建築物(建築確認を一切受けていない)
- 構造的に問題のある増改築物件
- 建築確認済証・検査済証が完全に紛失した物件
🟡 要注意レベル:条件付きでリフォーム可能
- 既存不適格建築物(建築時は合法だが現在の基準に不適合)
- 書類不備物件(建築確認済証はあるが検査済証がない)
- 軽微な違法増築物件(サンルーム・カーポートなど)
- 旧耐震基準の建物(昭和56年5月31日以前に建築確認申請)
🟢 比較的安全レベル:制限はあるがリフォーム可能
- 新耐震基準適合住宅(昭和56年6月1日以降申請)
- 書類が完備された物件
- 過去に増築歴のない物件
- 建ぺい率・容積率に余裕のある物件
【実例公開】リフォーム不可で困っている事例
事例1:「昭和57年完成なのに、旧耐震?」(岡山市・木造2階建て)
- お客様の認識:「昭和57年だから新耐震基準のはず」
- 実際:昭和56年2月に建築確認申請 → 旧耐震基準
- 問題:耐震補強なしでは大規模リフォーム不可
- 費用:当初予算400万円 → 耐震補強込みで750万円
事例2:「書類がない!」(東京都・築35年)
- 問題点:建築確認済証も検査済証も紛失
- リフォーム計画:キッチンと浴室の全面リフォーム
- 結果:市役所の台帳調査から現況調査まで必要
- 費用:調査・申請費用だけで120万円追加
事例3:「知らずに増築していた」(神奈川県・住宅密集地)
- 問題点:20年前に無許可でサンルームを増築
- リフォーム計画:全面リノベーション
- 結果:まず違法増築部分の撤去または適法化が必要
- 対応:サンルーム撤去で当初計画を大幅変更
【驚愕の事実】あなたの家の書類、本当にありますか?
実は、検査済証が保管されている住宅は ** 全国でわずか約5% ** と言われています。
つまり、95%の住宅が書類不備の状態 と言うことに …
「え、みんなないの?」
そうなんです!
特に、昭和~平成初期の住宅では、「建築確認」は取っていても「完了検査」を受けていない住宅が大半です。
これまでは「まあ、なんとかなるだろう」で済んでいましたが、2025年の法改正で状況が一変しました。
【リフォームするメリット】法改正後の恩恵
1. 光熱費がグッと安くなる!省エネ住宅で家計も大助かり
2025年4月からの省エネ基準適合義務化によって、リフォーム後の家はこれまで以上に高い断熱性能を持つことが求められます。
具体的なメリット:
- エアコンの効きが格段に良くなる
- 冷暖房使用頻度が減り、光熱費が大幅削減
- 国や自治体からの補助金制度を活用可能
- 住宅ローン控除などの税制優遇
2. 耐震性・安全性がアップ!安心して暮らせる家に
「4号特例」がなくなることで、これまで設計者の判断に任されていた部分が、行政による厳しいチェックの対象となります。
安全面の向上:
- 家の構造的な安全性がより重視される
- 一定の基準を満たした耐震性の高い家が保証
- 手抜き工事や設計ミスを未然に防ぐ効果
- 地震大国日本で安心して暮らせる
3. 将来の売却にも有利!資産価値が上がる可能性
省エネ性能や耐震性が向上した家は、将来的に売却する際にも有利になる可能性があります。
資産価値向上:
- エコな家や耐震性の高い家への需要増加
- より良い条件での取引が期待
- 「違法な状態で売れない」リスクを回避
- 長期的な資産保護効果
4. 木のぬくもりを活かしたおしゃれなデザインも可能に
大規模な木造建築物の防火に関するルールが少し緩和され、木の柱や梁をそのまま見せる「表し」というデザインがしやすくなります。
【リフォームするデメリット】覚悟すべき課題
1. リフォーム費用が増えちゃうかも…
建築確認申請が義務化されることで、これまで不要だった費用が発生する可能性があります。
追加費用の内訳:
- 申請手数料:行政機関や審査機関への支払い
- 専門家依頼費用:構造計算や詳細図面作成(30~50万円)
- 工事監理費用:適切な監理のための費用
- 追加工事費:省エネ基準適合や既存不適格是正のため
リフォーム総額が数十万円~数百万円高くなる可能性があります。
2. 工期が長くなって、手続きが面倒に
建築確認申請の審査には約1ヶ月、書類準備に1~2ヶ月かかることがあります。
工期延長の要因:
- 建築確認申請の審査期間(7日→35日)
- 書類作成の複雑化
- 対応できる業者の限定化
- 検査済証がない物件での手続き複雑化
3. 再建築不可物件や既存不適格建築物への大きな影響
再建築不可物件:
- 大規模リフォーム(特に木造2階建てのスケルトンリフォーム)が困難
- 建築確認申請が通らない可能性が高い
- 物件価値の更なる下落リスク
既存不適格建築物:
- 現在の基準への是正が求められる可能性
- 予期せぬ追加工事の必要性
- ただし、一部免除の特例も新設
4. 思い通りのリフォームができない可能性
特に「新2号建築物」では、これまでできていたリフォームが新しい基準に適合しない限りできなくなる可能性があります。
【本音トーク】リフォーム業界の裏事情
不動産業界にいる私から見ると、今回の法改正は「住宅の質向上」という大義名分がありますが、実際には多くの問題も生んでいます。
良い面:
- 建物の安全性・耐震性が向上
- 省エネ性能アップで光熱費削減
- 長期的な資産価値の維持
- 悪質な業者の排除
困った面:
- リフォーム費用が大幅増加(30-50万円の追加費用は普通)
- 工期が大幅延長(申請だけで35日)
- 対応できる業者が限られる
- 築古物件の価値がさらに下落
- 「リフォーム難民」の増加
業界の本音:
正直、小規模なリフォーム会社の中には「もう面倒な案件は受けたくない」という声も聞こえてきます。
書類作成や申請手続きに慣れていない業者が多いのが現実です。
リフォーム市場は「高度で費用が高い大規模リフォーム」と「シンプルで費用が安い小規模リフォーム」に二極化していく可能性があります。
【タイプ別対処法】あなたの家はどうすれば?
🔴 書類が見つからない場合
Step1:家の中を探す
- 権利証と一緒に保管されていることが多い
- 建築時の図面や契約書と一緒の場合も
Step2:建築会社に問い合わせ
- 建築会社が倒産していても、書類を引き継いでいる場合がある
Step3:市役所で台帳調査
- 建築指導課で「建築確認台帳」を確認
- 建築確認番号が分かれば申請日も判明
費用の目安:
- 台帳調査:無料~1万円
- 現況調査:30万円~80万円
- 構造計算:50万円~100万円
🟡 旧耐震基準の場合
対策:
- 耐震診断の実施(自治体補助金あり)
- 耐震補強工事の計画
- 段階的なリフォーム計画
費用の目安:
- 耐震診断:5万円~15万円(補助金で実質無料の場合も)
- 耐震補強:100万円~300万円
🟢 無許可増築がある場合
選択肢:
- 違法部分の撤去
- 既存不適格として適法化
- 増築部分を除いたリフォーム
費用の目安:
- 撤去費用:50万円~150万円
- 適法化費用:100万円~300万円
【提案】リフォーム不可なら、住み替えという選択
正直にお伝えすると、リフォーム費用が想定の2倍、3倍になるケースも珍しくありません。
そんな時は、現在の住まいを売却して新しい住環境を手に入れるという選択肢も検討すべきです。
住み替えのメリット:
- 高額なリフォーム費用を回避
- 最新の耐震・省エネ基準に適合した住宅に住める
- 立地条件も改善できる可能性
- 住宅ローン控除などの税制優遇も受けられる
実際の事例:築35年木造2階建て住宅(岡山市)
当初の計画:
- リフォーム見積もり:800万円
- 内容:キッチン・浴室・外壁・屋根・耐震補強
問題発覚:
- 建築確認済証なし
- 過去に無許可増築あり
- 追加費用:300万円(書類作成・違法部分是正)
- 総額:1,100万円(金利2.05% 返済期間15年 毎月の返済額71,039円)
住み替え検討:
- 現在の家の売却価格:1,600万円
- 住宅ローン残債:なし
- 手残り:1,600万円
新築購入:
- 新築住宅価格:3,200万円
- 頭金:1,600万円(売却手残り)
- 新規借入:1,800万円(金利0.6% 返済期間20年 毎月の返済額79,608円)
結果比較:
- リフォーム:追加投資1,100万円で、築35年のまま(15年の総額:約1,279万円)
- 住み替え:追加投資1,800万円で、最新基準の新築住宅(20年の総額:約1,910万円)
- 差額:約631万円で、新築住宅を取得
お客様の声:
「最初は『売るなんて考えられない』と思いましたが、計算してみると住み替えの方が賢い選択でした。
新築で設備も最新、地震の心配もなく、光熱費も月4万円から2万円に大幅に下がりました。
さらに、リフォームしても築35年の建物。10年後にはまた大きな修繕が必要になる可能性もありました。
※金利は2025年7月時点の一般的な水準です。分かりやすく比較するため諸費用は加味していません。
さんぜろ不動産なら
- リフォーム困難物件も適正価格で査定
- 住み替え先の紹介もワンストップで対応
- 売却から購入までトータルサポート
【Q&A】よくある質問
Q:建築確認済証がないと絶対リフォームできないの?
A:いいえ。ただし、現況調査や構造計算などの追加費用が発生します。
Q:旧耐震基準でも小規模なリフォームなら大丈夫?
A:キッチンや浴室の交換など、構造に影響しない工事なら問題ありません。
Q:住み替えを検討する場合、築古物件でも売れるの?
A:立地や状態によりますが、適正価格であれば売却可能です。
Q:再建築不可物件でも価値はあるの?
A:立地が良ければ投資用物件として需要があります。
【チェックリスト】今すぐできる対策
□ 建築確認済証・検査済証の確認
□ 過去の増築歴の確認
□ 建ぺい率・容積率の確認
□ 接道状況の確認
□ 建築確認の申請日確認
□ リフォーム業者への相談
□ 必要に応じて不動産査定の実施
【まとめ】2025年法改正との上手な付き合い方
2025年の建築基準法改正は、住宅の質向上を目的とした重要な改正です。
メリットとして、省エネ性能の向上による光熱費削減、耐震性の向上による安全性確保、そして長期的な資産価値の維持が期待できます。
デメリットとしては、リフォーム費用の増加、工期の延長、手続きの複雑化があげられ、特に再建築不可物件や既存不適格建築物では大きな影響を受ける可能性があります。
大切なのは、早めに現状を把握し、選択肢を知っておくことです。
- リフォームが可能か?
- 可能な場合の費用や工期は?
- 住み替えとどちらが得か?
これらを総合的に判断して、最適な選択をしていただきたいと思います。
さんぜろ不動産では、リフォーム・売却・住み替えのすべてについて、お客様の立場に立ったアドバイスを提供しています。
「うちの家、どうしたらいいの?」と迷われている方は、ぜひお気軽にご相談ください。

さんぜろ不動産 STAFF
